投資手法(経営者評価を重視したファンダメンタル分析)

個別株に投資しようと思っても買える株(企業)がたくさんあるので、どの株を買えば良いの選定するのはとても難しいですよね。

私は2022年2月から個別株の投資を始めましたが、最初は今の株価が高いのか、低いのかも全く判断できませんでした。しかし、いくつか本を読んだり、実際に株を買って会社の決算説明を見たり、日々株価の動きをモニターしていくことで株価がどのように決まって、動いていくのかがある程度掴めるようになりました。また、自分の投資手法も試行錯誤を繰り返してある程度納得のいく形になってきたので紹介したいと思います。

※このブログは投資を勧めるものではありません。投資判断はあくまで自己責任でお願いします。

投資手法:経営者評価を重視したファンダメンタル分析

私は株の購入判断に用いる評価値を以下の式で算出します。

  • 株評価値 = 経営者評価値 × 株価評価値

この”経営者評価値“と、”株価評価値“が共に高い株の評価値が高くなります。逆に言うと片方でも低ければ候補にほぼ上がることがありません。基本的にこの評価値が高いものを優先に購入を検討します。

この手法は簡単に言うと

  1. 経営者が優秀で信頼できる
  2. 現株価が将来の見込みに対して割安である

の両者を満たす株を選定して購入することになります。

経営者評価値は1〜5の範囲で評価した値を3乗した値を用います(つまり評価値は1〜125の範囲になります)。

株価評価値は3年後の想定株価/現株価 により算出します。例えば現株価が1000円で3年後の株価予想が3000円なら評価値は3になります。概ね株価評価は0.1~10の範囲に入ります。

このように算出した株評価値が200以上を目安に購入を検討します。この200以上は例えば経営者評価が4以上(評価値は64)で、3年後の想定株価が3倍で、192とようやく到達してくる水準になります。

経営者評価を重視する理由(筆者の経験)

私の勤めている企業の株価は2000年頃からずっと下落が続いていて2010年ごろには大きな赤字を出すなど周囲からは会社の存続を危ぶまれるような状況に陥っていました。ところが一転、2012年〜2022年の10年間でなんと株価が10倍になるという出来事がありました。その10年で何があったかというと、唯一明確に変わったのが社長でした。

社長が交代してから会社が少しずつ変わってきました。実際に会社の中にいて変わったと実感したのは

  1. 会社のミッション、ビジョンが設定された
  2. 社長から社員へメッセージが増えた。社長の人柄や、会社の方向性について触れる機会が増えた。
  3. 中長期的な経営方針が策定され、社員にも共有されるようになった。
  4. 今後成長が見込めない分野は売却し、今後成長が見込める分野に集中投資。新規事業等にチャレンジできる機会が増えた。
  5. 経営におけるROEやEBITDA等のKPIが設定された

等です。それまでは普段仕事をしていて社長の存在を感じることはなかったのですが、社長が交代してからは会社の目指すところが明確になり、メッセージとして社員一人一人が受け取り、中長期での戦略をたて、成長分野に投資をし、社員がチャレンジする機会を増やし、目標とする指標を明確にして経営を進めた結果、10年で株価10倍になるほど驚くほど会社の利益が増えていきました。

このように会社のトップの手腕が企業の成長(結果として株価上昇)に非常に大きな影響を与えるということを、実際にその企業の中にいて感じた経験がこの投資手法の基盤になっています。

経営者の評価方法

私は経営者について以下の項目について評価し、数値化しています

  1. 企業のミッション、ビジョンを設定しているか?その内容は共感でき、かつ新しい価値を創造し得るものか?
  2. 社長は直接言葉でメッセージを発信しているか?人柄は魅力的か?言葉は熱意、自信に満ちているか?
  3. 中長期(5年〜)を見据えた経営をしているか?
  4. 成長戦略は明確になっているか?(M&A, 人材, 広告, デジタル化 etc)
  5. 目標とする数値が明確に設定されているか?(KPIが設定されているか)

①は会社の存在意義、目指すところをちゃんと設定しているかです。社員一人一人が優秀でも皆がそれぞれ違う方向に向かっている場合その力は下手すると打ち消しあってしまうこともあります。全員が同じ方向に向かっていくことで大きな力になります。

②は社長の人として魅力に溢れているかという点です。私自身がこの人が経営する会社で一緒に働きたいと思うか、という視点で評価しています。社長が力強いリーダーシップを発揮していて、人柄も魅力的であり、社長自らメッセージを発信している会社は会社の方針に共感する、良い人材が集まりやすいと考えます。また、このリーダーと一緒に頑張ろうと社員のやる気も高いと考えられます。

③は端的に言うと先見性です。将来の予測をどこまで具体的に見据えて経営戦略を立てられるのかが重要です。短期的な目線しかなければ、急な環境の変化にうまく対応できなくなるリスクが高いと考えます。

④は企業がどのように成長していくのかを具体的な施策に落とし込めているかです。企業の成長戦略として具体的に何をしていくのか、それによりどの程度の成長が実現すると予測しているのかを確認します。企業の成長戦略を聞いて、具体的にこの企業がどうやって成長していくかが自分の頭でもイメージできるか、という視点で評価しています。

⑤経営目標は具体的に数値となっていることが重要です。数値になっていることでその実現に向けて皆が具体的に考え、試行錯誤することができるからです。例えば○年後売り上げxxx億を目指す、EBITDAxx%を目指す、等会社が成長していくにあたり具体的な数値目標とそれに向かった途中目標も明確になっているとなお良いと考えます。

株価の評価方法

株価評価値は “3年後の想定株価/現株価” により算出すると書きましたが、3年後の想定株価をどう見積もるのかが難しいところです。私は以下の式で見積もりを行なっています。

  • (会社の今季の想定純利益 × 3年の利益成長率) / (発行株式数 × 金利) 

基本的には株価は企業がどれだけの利益を出せるか、によって変動しますので、上記の式の分子は3年後の利益がいくらになるかを各企業の過去の売り上げ、利益の推移と成長戦略で打ち出している将来の成長見込みを踏まえて設定します。また株価は発行している株式数によって価値が分割され、また金利による影響を受けますので分母で考慮しています。金利については、今の市場の金利想定がどの程度になっているかを、実売り上げなど安定していて株価の変動が少ない大企業で実際に計算してみて数値を合わせこむようにしています。

その他重視項目(購入検討に入れる大前提)

自分の算出している評価値が高いことはもちろん重要ですが、その他にも購入する株(企業)の大前提として以下を確認しています

  • 商品やサービスが魅力的であること
  • 競争優位性(企業の強み、技術力)
  • 今後拡大する市場であること

商品やサービスが魅力的であること

自分では買わない、利用しないと思うような商品やサービスでは今後その企業がどんどん利益が増えて成長していくイメージを描くことはできません。少なくとも自分から見ても是非欲しい、使ってみたいと思えるようなものを提供している企業を選ぶようにしています。

競争優位性があること

今は利益が出ていても、他社が簡単に真似できるようなものであれば、今後他の企業に真似されてシェアを奪われて、利益が減っていくことも考えられます。安定的に成長していくためにはこの会社にしかできない技術、強みを明確に持っていることが重要になります。企業の決算説明や、会社説明等を通してこの企業の強みは何なのか、それは他社が簡単に真似できないようなものなのかを確認するようにしています。

今後拡大する市場であること

力のある企業でも今後衰退していく市場では今後大きな成長は見込めません。今後EVの自動車に市場が移行していくのに、ガソリン自動車に力を入れていても将来的な売り上げ、利益の上昇は見込めませんよね。逆に言えば、今後大きく成長する市場であれば市場の成長分も取り込んで大きな成長が見込めると考えられます。中期計画や決算説明資料などを元に今後拡大する市場なのか、または成長市場でなくても今後拡大する余地がどの程度残っているのかを確認するようにしています。

ポートフォリオの組み方

私は家庭の資産を運用するので、極力リスクを低く抑えつつ、かつ大きなリターンも狙えるように考慮して個別株に投資する額を約50%ずつに分け

  • 中長期(3年〜5年程度)目線で長期的に伸びが期待できる会社に広く分散投資
  • 短中期(〜3年程度)目線で大きな伸びが期待できると思う会社数社に集中投資

に分けることにしました。

この投資手法の良い点

この投資手法で運用を初めてみて、良いと感じている点は以下になります

  1. 分散投資のため一社が値崩れしても大きな損失にならない
  2. 元々かなり割安で買っているのでこれ以上暴落することがあまりない
  3. 株価は上がっても下がっても嬉しい(精神的に安定して運用できる)
  4. 多くの投資家は超短期視点(1年未満)でトレードしているため、割安で株を購入しやすい
  5. トレードに時間を取られないため、兼業が容易

① 分散投資のメリットですね、一社の株価が下がっても他は上がっていたりするのでトータルでは大きな損失にならないためそこまで精神的にダメージを受けることが今のところありません。

② そもそもかなり割安と感じる株価の時に買っているので、なかなかそれ以上大幅に下がることは少ないと感じています。下がってもまたじわじわ上がってくることも多く、分散投資もしているのであまり気になりません。

③ 私の株の買い評価は前述の通り株価が安くなることで評価値がどんどん上がります。そのため株価が上昇していくと、想定通り上がってきたな。と感じますし、逆に下がったとしても、買いのチャンスが来た。と買い増しを検討する、とどちらに転んでも嬉しいため、短期的な株価の動きにあまり悲観的になることがありません。株価の動きに対して狼狽ることなく運用ができることがとても良い点だと感じます。

④ 実際株を購入してみて日々の推移を見ていて感じたことですが、多くの投資家は1日~長くても1年未満の視点でトレードをしているように思います。短期的な決算の数値で株価が大きく下がった場合でも、私は中長期視点なので今後に向けてはすごく良い決算内容だったなと感じていたり、市場の動きと自分の評価は大きなギャップがあると感じることが多いです。つまり市場の評価と異なるため、良い株を安いタイミングで購入しやすいと感じています。この点は自分の想定が正しかったのかを実際の株価の値動きをモニターして確認していきたいと思います。

⑤ 長期視点のためトレードは月に1回あるかという程度なので、ほとんど時間を取られません。普段気になる企業の決算や、市場の同行等はウォッチしていますが、私は趣味として楽しんでできています。本業で忙しい人にオススメできる手法だと思います。

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